「熱湯が手にかかった」「油がはねた」「間違って過熱した鍋に触れてしまった」など日常生活の中で軽い火傷は珍しくありません。
軽い火傷とはいえ、ヒリヒリ痛いし、放置していると水ぶくれになったりするので、火傷は放置できません。
火傷をしたらすぐに水で冷やす。これが通常の処置ですが、ここで紹介するのはお湯を使う方法です。
「お湯を使った方が 痛みが早くとれるよ」と言うと、たいていの人は「え!?」となりますが、冗談ではなく本当に効きます。
先日、会社で熱湯を誤って自分の指にかけてしまった時、久々にお湯で応急処置をしましたが、やっぱりお湯は痛みがとれるのが早いです。
ということで、お湯を使う方法を紹介します。
火傷の分類で「Ⅰ度」の火傷とは?
方法を紹介する前に、注意事項があります。
火傷もピンキリで、放置していても治る軽度の火傷から、命を落とす重症な火傷までさまざまです。
今回紹介する方法は 軽度(分類Ⅰ度)の火傷に限ります。
火傷は、その深さと患部の状態によってⅠ~Ⅲ度に分類されます。
全部を説明すると長くなるので、この記事で対象にしているⅠ度だけ説明すると、Ⅰ度の火傷とは、表皮のみの損傷です。
症状は火傷した患部が赤くなり、ヒリヒリとした灼熱感や痛みがあるといった程度です。
酷い火傷の場合は、とにかく冷やして、病院で処置してもらってください。
軽度の火傷にお湯が効いた体験談
火傷をするとヒリヒリします。
火傷のヒリヒリは、時に耐え難いほどの痛みになります。
水で冷やしていると、その時は一時的に痛みは軽くなるものの、水から出してしばらくすると、またヒリヒリの繰り返しです。
お湯を使う方法は、10年ほど前にある民間療法で知りました。
私も最初は半信半疑で、いきなりお湯はさすがに恐かったので、一旦水で冷やして痛みが取れなかった時に、ぬるめのお湯を試してみました。
お湯に浸けた瞬間は痛みが増しますが、しばらく我慢して浸け続けているとだんだん痛みは取れていきます。痛みがなくなった頃にお湯から出してみたところ、しばらく経ってもヒリヒリが戻ることはなかったので、私はそれ以来、火傷をしたらお湯を使うようになりました。
火傷の後のヒリヒリが苦手な人には おすすめです。
私の場合は、今はぬるま湯ではなく、少し熱めのお風呂の温度ぐらいのお湯に浸すことが多いです。
温度が高いと、つけた時の痛みは強烈ですが、私はその方が短い時間で痛みが取れるように感じるので、少し熱めを好んで使っています。
人肌~お風呂の湯温程度なら、細かい温度調整を難しく考える必要はありません。好みの温度でOKな感じです。
ちなみに知人友人にも試してもらいましたが、皆、私と同じような感想を述べるので、やはり効くのだと思います。
ぬるま湯を使った火傷の【処置方法】
火傷をしたら、まずは、すぐに患部を「水」で洗い流します。
表面についた熱い物質は早く取り除く必要があるからです。
洗い流した後は、人肌より少し熱めぐらいのお湯を洗面器かバケツに溜めて、そこに患部を浸します。(痛みに弱い人は人肌ぐらいでOK)
飛び上がるほど痛いですが、しばらく我慢しているとマシになります。
お湯が冷めたら温かいお湯に変えて、痛みが取れるまで浸します。
最初は 少なくとも10分位は 浸した方がよいと思います。
痛みが取れるまで浸けていると、最低でもそれぐらいの時間はかかると思います。
痛みがまだ残っている時は、もう一度お湯に浸してください。
直に痛みは取れます。
[注意事項]
火傷で一番大事なのは、火傷の被害を拡大させないことです。
火傷をした後にどれだけ早く処置するかで、火傷の深さは変わります。
火傷を放っていると深部に火傷が拡がってしまいます。最初は少し赤いぐらいだったのに、放置したがために水ぶくれになってしまった経験を持っている人は少なくないと思います。
放置だけは絶対にしないでください。
火傷したら、すぐに患部を水で洗い流すこと、そして もしも お湯の準備に時間がかかるようなら、準備している間は水で冷やし続けること。とにもかくにも、火傷した時は、水であれ お湯であれ 速やかに処置することが一番大事です。
お湯が効く理由
火傷をした時に患部をすぐに冷やすのは、患部の温度を下げなければ火傷によるダメージが拡がるからです。
なので、たいていの人は「お湯で温めるといいよ」と言うと驚くし、私も最初は「本当かなあ?」と疑いました。
そりゃそうですよね。
冷やすべきなのに温めるわけですから。
だけど実際にやってみると効きます。
私自身の体の反応を振り返ってみると、水や氷で患部を冷やした時の体の反応と、お湯を使った時の体の反応とでは、お湯の方が自分の自然治癒力を助けている感じがします。
よく考えてみると、お湯を使うと言っても、熱せられた患部よりも温度の低いお湯を使うので、温めるのとは少し違います。
この「水」と「お湯」に対する体の反応の差は、体内の温度を正常に保とうとする私たちの体の働きが影響していると思われます。
推論①
普段の体温調節に使われているものの1つに毛穴があります。
体内の温度を下げたい時は毛穴が開き、寒い時は熱を逃がさないように毛穴は閉じます。
火傷とは、体内の温度調節機能を大きく超えた熱が発生している異常事態です。
上がり過ぎた温度を下げるために一般には体表に水をかけて冷やします。
この方法だと、患部以外も冷たくなるので、体の反応としては毛穴を閉じてしまうことになります。いわゆる この方法は 表面の温度を下げることで徐々に内部を冷やしているわけで、中から熱を放出するのとは違います。
一方ぬるま湯を使った場合、患部周辺の毛穴は開きます。
内部の熱が外に出やすい状態が作られるので、意外に早く内部の温度は下がるのではないかと考えられます。
推論②
また、火傷は必要以上の熱が体内に生じているので、急ぎ冷ます必要はありますが、体温よりも下げてしまえば、冷えすぎた状態になります。
すると体は 冷えすぎた部位を温める働きをします。
傷ついた患部は冷やしている間は痛みが麻痺していますが、冷やすのを止めれば 体は冷えた周囲の部位とともに傷ついた患部も一緒に温めます。
なので、冷やせば冷やすほど、その反動は大きいと考えられます。
氷水などで冷やした後に戻ってくるヒリヒリ感は強烈です。
一方、お湯を使うと、その反動はありません。
まとめ
基本的に軽い火傷なら、放っておいても自然治癒します。
そのレベルの火傷においては、痛みの軽減や、治癒力を助ける手当こそが、体にとってはベストだと言えます。
その点において、ぬるま湯は体の自然治癒力を助けるのに適していると考えられます。
なので、軽度の火傷にぬるま湯は試してみる価値はあります。
体のことなので、念のために注意事項を繰り返しておきます。
ここで紹介している方法は、自然治癒可能な軽度(Ⅰ度)の火傷に限ります。
患部が破れているような ひどい火傷の場合は、細菌が入るなど別の問題もあるので、これは自己流で処置しないでください。
特にひどい火傷の場合は、患部に直接触れないようにし、まずは水道水で冷やすようにしてください。(服を着ている部位を火傷したなら、服は着たままで構わないので、とにかく冷やしましょう)
お湯を使う処置方法は「軽度の火傷」にはおすすめですが、Ⅱ度以上の火傷には一般の救急処置をで対応してください。
また、軽度の判断にも個人差があるようなので、実行する時は「自己責任」でお願いします。
最初は私がやったみたいに、水である程度冷やした後に試してみると良いかもです。
ぬるま湯を使う場合でも、火傷をした直後は水道水で患部を洗い流すので、その時間を長めに取って、途中で「ぬるま湯」に切り換える感じで良いと思います。
何度か実践しているうちに、自分なりのコツも身についてきます。
まあ、「身につくほど 火傷するのも どうかなあ」とは思いますが。